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| 高度不妊治療 |

高度不妊医療合併症と対策
合併症1.卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

排卵誘発剤 (主にhMGの注射)によって卵巣が過剰に刺激されて起こる副作用で、卵巣が腫れる(主に8cm以上)下腹部の痛み腹水や胸水がたまる尿量が減る血液が固まりやすくなる、等の症状があります。

排卵誘発剤は、文字通り卵巣から排卵する卵胞の発育を誘発する方法で、卵巣を刺激します。
刺激された卵巣に発育した卵胞の中には、顆粒膜細胞があり、この細胞が女性ホルモンの一つであるエストロゲンを産生します。
エストロゲンは正常の排卵周期を作る最も大切なホルモンの一つですが、過剰に産生されると卵巣過剰刺激症候群(OHSS)引き起こします。


卵巣過剰刺激症候群(OHSS)はすべての人におこるわけではなく、診察では発症していないか、また発症した場合でも悪くなっていないかを診ていきますので、軽症~中症の場合がほとんどです。 症状も次の月経までか、妊娠初期でなくなりますが、妊娠により一時的に悪化します。
中には卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりやすい体質や、重症化して入院治療が必要となる患者さんもいますが、 内服剤で卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こることは稀です。


排卵誘発剤は、内服薬、注射薬の順に効果が強くなり、注射薬のなかではFSH製剤、hMG製剤の順に効果が強くなります。 効果が強くなると同時に副作用も多くなります。
また排卵調節に用いるhCG製剤が発症のきっかけとなります。
よって当院では、最初からhMG製剤を用いるのではなく、弱い効果でもなるべく効率よく良好な卵子が採取できるよう、工夫します
またhCG の代わりにGnRHa製剤(ブセレキュア)による排卵調節を行います。


合併症2.多胎妊娠

高度不妊医療の合併症とも言うべき多胎妊娠を防ぐため、当クリニックでは単一胚(細胞)移植(SET)を基本的に行います
多胎妊娠とは、双子(ふたご)以上の妊娠のことです。 自然妊娠でも1%の方が双胎妊娠(ふたご)となります。
多胎妊娠は、一面では確かに喜ばしいです。 一度に可愛い赤ちゃんを二人授かったり、妊娠は大変だから一回で二人欲しい、なるべく沢山子供を産みたいので、双子だったらなおさらよい、色々な意見がありますが、我々産科医の立場からすると、妊娠中のリスクは目を背けることのできない問題です。
「多胎妊娠の妊娠中のトラブル・リスク、双子は2倍、三つ子は3倍??」 我々は双胎妊娠のリスクは単胎の10倍、品胎妊娠(三つ子)は100倍、と説明しています。

多胎妊娠のリスク

・妊娠初期から流産率が高くなります。
・子宮頚管(子宮の出口)が開く、子宮頚管無力症が増えます。
・安定期に入ってからも、切迫早産や、実際に早産になることが多く、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の合併は大変重要です。
・マイナートラブルとして、貧血が重くなる傾向もあります。
・満期に入ってから、何より、お腹が大きくなる日常生活が大変です。
・赤ちゃんは単胎妊娠と比べ、体重が軽くなる傾向(子宮内胎児発育遅延)があり、満期で産まれても小さいことがあります。
・分娩に際して、合併症のある方は、経腟分娩、帝王切開の選択に迫られます。 双胎妊娠では、必ずしも帝王切開となるわけではありませんが、経腟分娩のリスクが高くなります。 といって、帝王切開のリスクが低いと言う意味ではありません。 品胎妊娠では必ず帝王切開となります。


このように、多胎妊娠では様々なトラブルが生じるリスクが高くなることがあり、未然に防げたらと思います。
高度生殖治療では、移植する胚(受精卵)の数を調節することができます。 胚移植する受精卵が多ければ多いほど単純に妊娠率は高くなりますが、多胎妊娠の発生と妊娠する赤ちゃんの数も多くなります。
これまで受精卵3個胚移植の時代から2個移植の時代へ、さらに現在では単一胚移植(SET)が主流となりつつあります。
一つの受精卵の胚移植では妊娠が成立しにくい、と思われる方もあると思います。 これまでの治療経過など、患者さんの状態に合わせて胚移植については相談していきたいと思います。