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| 不妊の原因 |

卵管因子(卵管性不妊)

細菌感染などによって卵管がふさがり、精子が卵子に到達できない。


原因となりうる疾患1.感染による炎症

感染には様々な原因菌がありますが、最も多いのがクラミジア感染です。 他に淋菌や一般細菌によるものがありますが、これらでは骨盤腹膜炎、骨盤内感染、PIDと呼ばれる症状を引き起こすことが多いです。 PIDは、発熱を伴う下腹痛があり、よく内科的な腹痛と間違われることがあります。 クラミジアでもPIDを起こすことがありますが一般的には軽度で、また感染しても無症状のことがよくあります。
いずれの感染でも、感染により炎症が引き起こされ、その結果卵管や卵巣が癒着し、さらに子宮や腸に癒着していることがあります。


原因となりうる疾患2.子宮内膜症

子宮内膜症による卵管因子は、後述の、子宮因子の項目をご覧ください。


原因となりうる疾患3.術後癒着

主には子宮や卵巣などの骨盤内臓器、子宮筋腫核出術や卵巣のう腫摘出術、帝王切開など、他には虫垂炎、鼠径(そけい)ヘルニアなどがあります。
術後癒着は必ず起こるものではありません。 全く癒着が無い場合も、ひどい癒着が起こっていることもあります。 開腹手術で強く、腹腔鏡下手術では軽い、またアレルギー体質の方に強く起こる傾向があります。
我々は術後の癒着を来たさないよう、手術終了時にインターシードなどの癒着防止剤を使うことが多く、これは完全に癒着を防げるわけではありませんが使わない場合に比べて明らかに癒着は軽くなります。

 

卵管性不妊の治療法

卵管因子の治療は「高度不妊治療(体外受精)」と「腹腔鏡下手術」の2つです。

卵管性不妊と腹腔鏡下手術

もちろん卵管性不妊は、その状態により絶対に妊娠しない、という因子ではありません。
つまり相対不妊のため、自然妊娠ができないとは限りません。
主に卵管周囲に形成された癒着性の組織が卵管障害をもたらしますが、体外受精は卵管を経由しない、卵管で起こる受精を体外で行う方法で、本来卵管切除後の患者さんに行う不妊治療法でした。
現在でも原因不明不妊や男性因子による高度不妊治療よりも、卵管因子のほうがおおむね妊娠率が高いです。 腹腔鏡下手術は子宮や卵巣の疾患に対して行われる、低侵襲の身体に優しい手術法ですが、卵管の病気に対しても治療の適応があります。 むしろ開腹手術よりも手術野を拡大して見ることができ、また微細な手術手技を用いることができるため、卵管の治療は腹腔鏡が適している、とも言えます。
卵管の病気、当初は子宮外妊娠に対して行われた卵管切除術、そして卵管を温存する卵管線状切開術、卵管周囲の癒着を剥離したり、卵管采を形成する術式が行われています。
卵管因子の患者さんに腹腔鏡を行う場合、卵管をきれいにする、元通りにする、という目的で行うわけですが、手術で目的を果たせる場合と、卵管周囲の癒着が重い場合、手術で完全にきれいにすることができないことがあります。 やわらかい腸が癒着していたり、癒着がひどく卵管が元に戻せないことがあるのです。
また手術後に術後癒着を形成することもあります。
よって卵管因子で腹腔鏡を行っても、残念ながら治療効果が無いこともあるのです。
難しいのは、術前の検査、内診や超音波、クラミジア抗体や子宮内膜症の腫瘍マーカー、CA125などの血液検査で、あらかじめ癒着の程度を予測はできるものの、最終的には手術をして卵管の状態を診る、手術をする、術後の経過を追跡することで、はじめて手術を行った価値が評価できます。
手術を行うことへの抵抗や麻酔への不安、入院の可否もありますし、妊娠に対する価値観を考慮しながら、不妊治療の方針を相談して決めています。