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不妊の原因

排卵因子

ホルモンバランスに問題があるため卵胞が育たない、排卵が起こらない。


原因となりうる疾患1.FSH分泌低下
原因となりうる疾患2.黄体機能不全
原因となりうる疾患3.多のう胞性卵巣症候群
原因となりうる疾患4.抗プロラクチン血症
原因となりうる疾患5.早発卵巣不全
原因となりうる疾患6.甲状腺疾患
 
卵管因子(卵管性不妊)

細菌感染などによって卵管がふさがり、精子が卵子に到達できない。


原因となりうる疾患1.感染による炎症

感染には様々な原因菌がありますが、最も多いのがクラミジア感染です。 他に淋菌や一般細菌によるものがありますが、これらでは骨盤腹膜炎、骨盤内感染、PIDと呼ばれる症状を引き起こすことが多いです。 PIDは、発熱を伴う下腹痛があり、よく内科的な腹痛と間違われることがあります。 クラミジアでもPIDを起こすことがありますが一般的には軽度で、また感染しても無症状のことがよくあります。
いずれの感染でも、感染により炎症が引き起こされ、その結果卵管や卵巣が癒着し、さらに子宮や腸に癒着していることがあります。


原因となりうる疾患2.子宮内膜症

子宮内膜症による卵管因子は、後述の、子宮因子の項目をご覧ください。


原因となりうる疾患3.術後癒着

主には子宮や卵巣などの骨盤内臓器、子宮筋腫核出術や卵巣のう腫摘出術、帝王切開など、他には虫垂炎、鼠径(そけい)ヘルニアなどがあります。
術後癒着は必ず起こるものではありません。 全く癒着が無い場合も、ひどい癒着が起こっていることもあります。 開腹手術で強く、腹腔鏡下手術では軽い、またアレルギー体質の方に強く起こる傾向があります。
我々は術後の癒着を来たさないよう、手術終了時にインターシードなどの癒着防止剤を使うことが多く、これは完全に癒着を防げるわけではありませんが使わない場合に比べて明らかに癒着は軽くなります。

 

卵管性不妊の治療法

卵管因子の治療は「高度不妊治療(体外受精)」と「腹腔鏡下手術」の2つです。

卵管性不妊と腹腔鏡下手術

もちろん卵管性不妊は、その状態により絶対に妊娠しない、という因子ではありません。
つまり相対不妊のため、自然妊娠ができないとは限りません。
主に卵管周囲に形成された癒着性の組織が卵管障害をもたらしますが、体外受精は卵管を経由しない、卵管で起こる受精を体外で行う方法で、本来卵管切除後の患者さんに行う不妊治療法でした。
現在でも原因不明不妊や男性因子による高度不妊治療よりも、卵管因子のほうがおおむね妊娠率が高いです。 腹腔鏡下手術は子宮や卵巣の疾患に対して行われる、低侵襲の身体に優しい手術法ですが、卵管の病気に対しても治療の適応があります。 むしろ開腹手術よりも手術野を拡大して見ることができ、また微細な手術手技を用いることができるため、卵管の治療は腹腔鏡が適している、とも言えます。
卵管の病気、当初は子宮外妊娠に対して行われた卵管切除術、そして卵管を温存する卵管線状切開術、卵管周囲の癒着を剥離したり、卵管采を形成する術式が行われています。
卵管因子の患者さんに腹腔鏡を行う場合、卵管をきれいにする、元通りにする、という目的で行うわけですが、手術で目的を果たせる場合と、卵管周囲の癒着が重い場合、手術で完全にきれいにすることができないことがあります。 やわらかい腸が癒着していたり、癒着がひどく卵管が元に戻せないことがあるのです。
また手術後に術後癒着を形成することもあります。
よって卵管因子で腹腔鏡を行っても、残念ながら治療効果が無いこともあるのです。
難しいのは、術前の検査、内診や超音波、クラミジア抗体や子宮内膜症の腫瘍マーカー、CA125などの血液検査で、あらかじめ癒着の程度を予測はできるものの、最終的には手術をして卵管の状態を診る、手術をする、術後の経過を追跡することで、はじめて手術を行った価値が評価できます。
手術を行うことへの抵抗や麻酔への不安、入院の可否もありますし、妊娠に対する価値観を考慮しながら、不妊治療の方針を相談して決めています。

子宮因子

子宮にできた腫瘍や子宮の形に問題があることなどが原因で、受精卵(胞胚)が着床できない。


原因となりうる疾患1.先天性子宮奇形
原因となりうる疾患2.子宮粘膜下筋腫
原因となりうる疾患3.筋層内子宮筋腫
原因となりうる疾患4.子宮内膜ポリープ
原因となりうる疾患5.黄体機能不全
 

子宮内膜症の治療法

手術療法、薬物療法、の順に並べ、大まかに治療効果が高い、治療費用、治療による侵襲が大きい順になっています。 効果が大きいものほど、治療費用がかかり、やはり身体への影響も大きくなっています。
根治性を求めれば手術療法が、姑息的(というのです、医学界では)な方法で、 なるべく身体にストレスをかけたくない、のであれば下に並んだ方法を選びます。
手術療法として、「子宮摘出または卵巣摘出」は、内膜症を抱えてらっしゃる世代には当てはまらないことが多いのですが、 理論的には最も効果が高い、再発の恐れが全く無い方法で、現在でも産婦人科の成書(権威が執筆し、標準的治療が解説されている、いわゆる「教科書」)には、唯一の根治療法、として紹介されています。 ただ、内膜症の世代はこれからお子さんを作る世代であることが多く、事実上治療法のラインナップとして外れることが多いです。
「ディナゲスト」の効果順位ですが、「3.5?」とあいまいな表現をとりました。理論的には偽閉経療法に次ぎ、OCより強い、はずですが、臨床使用経験が少ないため、現段階では「?」を付け、両者の間に位置づけました。 治療効果として我々がEBMをもってお勧めしているのがOCまでです。 現在ロイコトリエン拮抗剤について、少し調べながら書いています。
鎮痛剤の一部にも内膜症の痛みだけでなく内膜症そのものの治療効果の可能性も言われています。 漢方、健康食品にはEBMはありませんが、治療効果が見られることもあり、この辺りも調べてお伝えして行きたいと思います。

手術療法 効果 費用 妊娠 侵襲 主な副作用
子宮または卵巣摘出 1 20万円弱 できない 1 手術に伴う合併症
内膜症病巣摘出術 2 20万円弱 可能 2 手術に伴う合併症
薬物療法 効果 費用 妊娠 侵襲 主な副作用
偽閉経療法
(GnRHアゴニスト)
3 12,000円/月
(通常6カ月)
治療後可能 3 卵巣欠落症状
(更年期症状)
ディナゲスト 3.5? 8,000円/月 治療後可能 3 不正出血
OC 4 2,000円/月 治療後可能 4 血栓症、肝障害
ロイコトリエン拮抗剤 4.5? 9,000円/月 可能 6 あまりない
鎮痛剤 5 安価 可能 6 あまりない
漢方、健康食品など 6 高価なものもある 可能 6 あまりない

単純子宮全摘術

文字通り子宮を摘出する手術法ですので、将来的に妊娠を考えていない方が対象になります。
しばしば周辺臓器、卵巣・卵管や直腸、膀胱の癒着があるため、手術時間が長くなったり、出血量が多くなったりする場合も有ります。


卵巣摘出術(付属器切除術)

単純子宮全摘術に加えて卵巣を摘出する方法もあります。 また子宮は温存し、卵巣のみを摘出する方法があります。
卵巣摘出後は閉経の状態になりますから、月経そのものがなくなり、また内膜症病変は改善します。
予定よりも早い年齢で閉経になるため、どうしても癒着がひどく子宮の摘出にリスクが高い方が対象になりますが、この場合は卵巣も癒着に巻き込まれていることが多いです。


卵巣のう腫摘出術

卵巣チョコレートのう胞を摘出する術式です。最近ではほとんどが腹腔鏡下に行われるようになりました。 しばしば卵巣・卵管の周囲の癒着を伴うため、これらの病変も同時に治療されます。
卵巣の正常組織は温存されるため、術後の排卵、妊娠は可能です。 肉眼的に見つからない小病変が残る可能性もあり、こういった病変が再発(再燃)につながることもあります。


(付属器周囲)癒着剥離術

内膜症ではしばしば卵巣・卵管周囲癒着を形成し、重症な例では膀胱、直腸などの癒着も形成するため、子宮や卵巣に明らかな内膜症病変が無くても、この癒着を剥離する目的に手術を行うことがあります。
卵巣・卵管の癒着は主に不妊症や疼痛の原因となり、直腸の癒着は月経痛、排便痛、性交痛、慢性骨盤痛の原因となります。
ほとんどは腹腔鏡下に行われますが、あまりに高度の癒着が予想される場合や直腸に浸潤する内膜症が存在する場合は開腹手術が選択されることもあります。


腺筋症病変摘出術

内膜症手術ではオプション的な存在です。基本的には腺筋症の手術は子宮摘出が選択されます。 腺筋症病変のみの摘出は非常に再発率が高いため、手術のリスク、侵襲を考えるからです。
妊娠希望があるのに、他の方法で疼痛の改善が見られない場合、腺筋症に起因する流産を繰り返す場合に選択されます。
これらの手術、手術のみを行うこともありますが、多くの場合、手術中の出血、手術時間の短縮、手術の完遂を目的に、術前に偽閉経療法を行う場合があります。

頸管因子

頸管粘液の粘りが強く、精子が子宮に進入できないなど。


原因となりうる疾患1.抗精子抗体
原因となりうる疾患2.頸管粘液の異常
原因となりうる疾患3.頸管無力症
 

排卵誘発法

月経の3-5に地名から排卵誘発剤を5-10日間注射し、卵子を包んでいる卵胞を成熟させます。
排卵誘発剤には卵胞の成熟を促すホルモンの卵胞刺激ホルモン(FSH)が含まれています。
卵子は卵胞とともに成熟します。超音波で卵胞の大きさを観察し、直径が17-18mmになったら卵子を最終的に成熟させる為に、胎盤性性腺刺激ホルモン製剤(hcg製剤)を投与し、約36時間後に排卵します。